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がむしゃらに突進、探査作業用ロボット

インテリジェントなロボットシステムは、人間にとっては危険すぎる場所での防災や災害救助などの作業にますます頻繁に導入されています。 爆発や地震、その他の自然災害の後で生存者を探したり、人間の届かない場所を覗いたりできるロボットは、今日の私たちには欠かせません。日本の救助ロボッ トQuince(クインス)を動かすのはmaxonの高性能ECモータです。

災害地域に投入されるロボットは、高度の適応能力を持ち合わせていなければなりません。裂け目や狭い通路を通って建物の中心部に到達するには、ある程度小型かつ軽量で、小回りがきく必要があります。また、ロボットは困難な地形にも対応できなければなりません。人間の救助スタッフが中に入ってくまなく捜索できるように、まず救助ロボットが建物の中へ入り、ガスや放射能といった生命の危険がないかを調べます。Quinceはこれらの特性をすべて備えていることを証明しました。東北地方太平洋沖地震によって発生した福島の原子炉事故の後、Quinceは2011年6月、原子力発電所の上階に進むことに成功しました。そこでQuinceは放射能の測定を行い、HD映像を外に送信しました(QR-Code参照)。人間がのぞき見ることのできない場所でこのロボットは貴重な情報を得ることができたのです。

重さ27キロのQuinceは4つのキャタピラで駆動します(フリッパー)。このフリッパーは、急な階段であろうと道のない場所であろうと、自動的に角度を地面に合わせます。地面と正確に接触を保つことは、この際に非常に重要な前提条件となります。この接触はフリッパーのモータの出力の測定によって正確に分析されます。また、前と後ろのフリッパーにあるPSD(位置検出素子)センサによって地面との距離が測定されます。グリッパーアームの使用のほかに(図2参照)地形構造を正確に把握できる2個のレーザースキャナをロボットに取り付けることもできます。

さらに、Quinceは俯瞰カメラを搭載し、秒速1.6メートルの高速移動が可能です。ロボット制御の際には、操縦者がロボットの方向を指示する必要がありますが、階段などの様々なタイプの地表を横断するのに最適なフリッパーの位置決めはロボット自身が算出します。Quinceの最新モデルでは、放射性の塵や超微粒子を取り込む装置と3Dスキャナも搭載されました。ロボットの紛失を防ぐにはワイヤレスネットワークへの接続が可能です。これにより接続ケーブルが切断された場合にもロボットを操作することができます。

救助ロボットは千葉工業大学未来ロボット技術研究センター (fuRO) の小柳栄次副所長によって開発されました。教員としてキャリアを始め、51歳で教授になった小柳氏は他のロボット研究者たちとはまったく違ったバックグラウンドを持っています。
Quinceは人間にとっては危険な環境で極限条件下でも機能するよう特別に設計されているため、主に災害地域で活用されます。「ロボットの開発の際には、まずはそのロボットがどんな役割を果たすべきかを考えますが、そこにやりがいを感じます。」と小柳氏は語ります。これまでに8体のQuinceロボットが完成しましたが、実際に使用される前に、すべてのコンポーネントが100パーセント機能するようでなければなりません。そのためにテキサス州カレッジステーションの大演習場「ディザスター・シティー」で数多くの実験が行われました。そしてQuinceは、ロボット競技コンテスト「ロボカップ」で障害物全てをクリアした唯一のロボットとなったのです。福島第一原発の内部へQuinceを投入するにあたって、準備段階でいくつかの仕様が追加されました。「原子炉の建物内の条件は非常に過酷でした。もし私たちがそのままQuinceを送り込んでいたとしたら、一巻の終わりだったでしょう。」と小柳氏は語ります。この調査においてQuinceは、約2メートルの高さから落下してもダメージをうけず、メンテナンスなしでも操作できなければなりませんでした。

どんな障害にも負けない高性能のモータ

モータ選択の際にもfuROは信頼性の高い駆動装置を求めていました。ここでモータに要求されたのは、高出力、高い効率性、小型かつ軽量といった条件でした。小柳氏が語るところによると、まさにこれらの条件を満たしていたのがmaxonのモータでした。ロボットを駆動するのは6個の高性能maxonモータです。ブラシレスDCモータEC-4pole 30は出力がそれぞれ200 Wで、両方のチェーンに2つずつ組み込まれています。このパワフルな4極パッケージは、Quinceが起伏のある地面を移動する際に威力を発揮します。さらなる4個のモータEC 22がフリッパーを動かし、地面に対する角度を自動調整します。Quinceの3DスキャナユニットはRE-max 24によって正確な位置へと動かされます。特殊な巻線テクノロジーと4極磁石が採用されたmaxon EC 4極モータは、体積対出力、質量対出力の高さでは他のどのモータにも負けません。このモータにはコギングがなく、高い効率と優れた制御動特性を特徴としています。また金属製のケースは優れた放熱性と機械の安定性を保証します。チェーンの全モータは、プラネタリギアヘッドGP 32 HP(高トルクバージョン)とMRエンコーダとに組み合わされています。
このギアヘッドは大型ボールベアリングと強化されたモータ軸を内蔵したカスタマ仕様です。このパワフルなパッケージで、Quinceはほぼ全ての障害を問題なく克服することができます。
 

 © maxon motor ag

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