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癌治療のための新しい放射線技術

アメリカの医療企業が癌治療のための新しい放射線技術を開発しました。この放射線療法ではガンマ線を調節するために複数の機器を用います が、それらの機器は相互に接続されている制御装置によって正確に制御されます。そしてその高精度な動作には、マクソンのモータ、ギアヘッドおよびコント ローラが役立っています。

当時、オークウッドビレッジ(米国オハイオ州)にあるViewRay社では、マルチリーフコリメータ (MLC) の製造という課題に直面していました。エンジニアたちの目標は、現在市場に出回っている他のどの装置より精密な動作をする製品を開発することでした。そこで、モータ、エンコーダ、ギアヘッド、モータ制御モジュールといった基本的な構成部品に関して、maxon Precision Motorsと連携することになりました。医療技術専門の民間企業であるViewRay社は、癌治療のための進歩的な放射線技術の開発を行っています。ViewRay社の装置を使用すると、MRTによる放射線治療中に軟部組織を画面上で連続的に観察することができます。医者は放射線量がどの部分の細胞に照射されているのかを正確に把握できるため、各患者の身体構造に合った調整が可能になります。ViewRay社の放射線装置は5つのサブシステムから構成されており、最適な治療を行えるようにそれぞれシームレスに統合されています。そのうち最も重要なサブシステムは、リアルタイムMRT、治療計画、放射線量の事前計算および最適化、軟部組織のリアルタイム画像表示、遠隔アクセスによる評価および操作です。治療は磁気共鳴断層画像装置内で行われます。この装置には回転可能なガントリーが装備されており、3台のマルチリーフコリメータを持つシールドされたコバルト60線源3個がそれによって位置決めされます。

この装置を用いない放射線治療の場合、治療の前後に画像を撮影することはできますが、照射中の画像は得ることができません。これでは放射線を動的に調節できないため、放射線治療が最大限に活かされません。

治療中に軟部組織が移動すると腫瘍の位置もずれてしまい、軟部組織全体が損傷するという結果をまぬがれませんでした。ViewRay社はMRTと放射線療法の技術を組み合わせることでその問題を解決しました。放射線照射中に軟部組織の連続的な画像検知が可能なViewRay社の装置を使用すると、治療中に放射線の向きや線量をリアルタイムで調整することができます。

製造チームのスタッフは次のように説明します。「MLCのモータ制御は、装置全体における重要なポイントのひとつです。モータの取付位置がMRT磁石の近くであること、そして構造上モータの取付スペースが制限されていることから、モータ制御の開発が困難であることは当初から分かっていました。」この装置では、シールドされた3つのヘッドにそれぞれガンマ線源が取り付けられています。画像周辺部がより鮮鋭に映し出され、従来の加速器のような半影が生じるよう、ViewRay社はダブルフォーカスMLCを設計しています。そのため、医者が患者を治療する際に、より高い安全性が確保されます。

デジタル位置制御ユニットEPOS2

ViewRay社のエンジニアチームは、マクソンのデジタル位置制御ユニットEPOS2 Module 36/2の採用を決定しました。その理由は、小型サイズのこの位置制御ユニットを利用することにより、各コリメータの動作制御を行うための60のチャンネルをコンパクトにまとめることができたからです。放射線治療装置のマザーボードには1枚に付き30個のEPOSモジュールを搭載することが可能で、各コリメータにはマザーボードが2枚使用されます。コリメータは装置の3つのヘッドに1つずつ、つまり3台必要です。フレキシブルで高効率の出力段が装備されたEPOSモジュールは、デジタルエンコーダによってDCモータを制御します。このモータはCANopenネットワークでスレーブノードとして使用するために、特別に設計されたものです。最大出力は2アンペアで、11–36 V電源装置によって電源供給されます。ViewRay社の開発チームはコントローラとの接続にEPOS2ファームウェアを採用しました。コントローラにはスムーズに実行できる複数の運転モードと監視機能があり、コントローラに必要とされる要件を満たしています。

モータ、ギアヘッドおよびエンコーダから成る180個のコンポーネント

各コリメータには60枚のリーフがあり、向き合った2枚のリーフのペア30組という形で配置されています。この装置には3台のコリメータが装備されているため、EPOSコントローラ、モータ、エンコーダおよびギアヘッドから成る180個のコンポーネントが使用されていることになります。
MLCは、対象点の位置に合わせて3つのガンマ線源の視準を行えるようにガントリーに取り付けられています。ガントリーが目的位置に移動する一方で、コリメータの各リーフが治療計画に従って位置決めされます。そのためのコマンドはCANopenバスから対応するノードに転送されます。ノードはモータ、エンコーダ、ギアヘッドおよびコントローラから構成されます。このようにして、患者の治療計画のデータに合った正確な形状が得られます。

この装置に使用されている180個のモータは4.5 Wのブラシ付きDCモータRE 16で、最大回転数はそれぞれ11,000 rpmです。

このモータには構造上磁気コギングトルクがなく、このことは従来のモータに比べると特に低速運転時に大きなメリットとなります。磁気式エンコーダMENC 13は正確なモータ制御を行い、その一方でGP 16 Aプラネタリギアヘッドは1 cm/sの位置決め速度に対し適切なトルクを発生させます。

 © maxon motor ag

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